2026年9月3日
理化学研究所
QunaSys株式会社
JHPC-quantum、QunaSys社「QURI SDK Enterprise」を導入
理化学研究所(理研)計算科学研究センター(R-CCS)は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)委託事業「計算可能領域の開拓のための量子・スパコン連携プラットフォームの研究開発」プロジェクト(JHPC-quantumプロジェクト[1]、以下「本プロジェクト」)において、量子ソフトウエア開発企業の株式会社QunaSysが提供する量子ソフトウエア開発キット「QURI SDK Enterprise」を導入し運用を開始しました。
本プロジェクトは、量子コンピュータ(QC)とスーパーコンピュータ(HPC)を連携させるためのシステムソフトウエアを研究・開発し、それを用いて量子HPC連携プラットフォーム(以下「連携プラットフォーム」)を整備、さらに量子HPC連携アプリケーション(以下「連携アプリケーション」)を構築し、計算可能領域を拡大することを企図しています。
QURI SDK Enterpriseは、QSCI(Quantum Selected Configuration Interaction)およびADAPT-QSCIをはじめとする量子HPC連携アルゴリズムライブラリを備え、スーパーコンピュータ「富岳」[2]の計算ノード・プリポストノードおよびJHPC-quantum GPUスーパーコンピュータ「ROQUO(ろっこう)」[3]から量子コンピュータへのシームレスなアクセスを可能にするものであり、連携アプリケーションの研究開発のさらなる加速が期待されます。
代表者からのコメント
- 理研 計算科学研究センター 量子HPC連携プラットフォーム部門 部門長 佐藤 三久
- 本プロジェクトが実施しているJHPC-quantumテストユーザプログラム注1)においても、QURI SDK Enterpriseへの要望が高いことから今回の導入を決めました。これを契機に、本プロジェクトにおけるQunaSys社との協業を深化させ、本プロジェクトの成果をより大きなものにしたいと考えています。
- 株式会社QunaSys 代表取締役CEO 楊 天任
- QSCIは当社が開発した量子・スーパーコンピュータ連携アルゴリズムであり、現在では世界中の量子HPCハイブリッド計算で最も広く使われる手法の一つとなり、「富岳」をはじめとするスーパーコンピュータ向けの最適化など多くの研究成果が生まれています。量子コンピュータの実用化には、こうした成果を企業ユーザも含め誰もが簡単に活用できることが重要です。QURI SDK Enterpriseは、QSCIをはじめとするアルゴリズムと、「富岳」、「ROQUO」、量子コンピュータを誰もが容易に使いこなせる環境として提供するものであり、これを契機に理化学研究所の皆さまとの協業をさらに深め、連携アプリケーションの研究開発をさらに加速させていきます。
- 注1)連携プラットフォームを実際に活用し、連携アプリケーションを研究開発する提案を募集するもので、開発中の連携プラットフォームに対するフィードバックを得るとともに、有望な連携アプリケーションを発掘し、実用化を推進することを目的としている。2025年度は21件の提案を採択した。
2025年10月14日お知らせ「JHPC-quantum、テストユーザプログラム始動 -量子HPC連携アプリケーションの実用化を推進、21件を採択-」
補足説明
- 1.JHPC-quantumプロジェクト
これから数年のうちに実用化に向けて大きく発展する量子コンピュータをターゲットに、量子コンピュータとスーパーコンピュータを連携させるためのシステムソフトウエアを開発し、これまでのコンピュータでは困難だった領域の計算を可能とする計算プラットフォームを構築・運用し、その上で量子HPC連携アプリケーションを開発して、その有効性を実証することを目標としている。さらに、この計算プラットフォームで実行される量子HPC連携ソフトウエアを、ポスト5G時代のネットワークで提供されるサービスとして展開するための技術を開発する。 - 2.スーパーコンピュータ「富岳」
スーパーコンピュータ「京」の後継機。2020年代に、社会的・科学的課題の解決で日本の成長に貢献し、世界をリードする成果を生み出すことを目的とし、電力性能、計算性能、ユーザの利便性・使い勝手の良さ、画期的な成果創出、ビッグデータやAI(人工知能)の加速機能の総合力において世界最高レベルのスーパーコンピュータ(HPC)として2021年3月に共用が開始された。現在「富岳」は日本が目指すSociety 5.0を実現するために不可欠なHPCインフラとして活用されている。 - 3.JHPC-quantum GPUスーパーコンピュータ「ROQUO(ろっこう)」
JHPC-quantumプロジェクトの一環として導入された量子HPC連携プラットフォーム向けの新たな計算基盤。「NVIDIA GB200 NVL4」を搭載した計算ノード135台(NVIDIA Blackwell GPU計540基)で構成されている。
研究支援
本プロジェクトは、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業(JPNP20017)」の委託事業「計算可能領域の開拓のための量子・スパコン連携プラットフォームの研究開発(研究代表者:佐藤三久)」によって行われています。
関連発表
- 2026年6月19日お知らせ「量子HPC連携プラットフォーム向け新スーパーコンピュータ「ROQUO(ろっこう)」運用開始―量子コンピューティングとHPCの連携を加速―」
- 2025年11月18日お知らせ「量子HPC連携プラットフォーム向けのシステムが決定 ―量子コンピューティングと高性能計算(HPC)の連携を加速―」
- 2023年11月22日お知らせ「「量子コンピュータとスパコンを連携利用するためのプラットフォーム研究開発プロジェクトを始動」
お問い合わせ
理化学研究所 計算科学研究推進部 アウトリーチグループ
Email: r-ccs-koho@ml.riken.jp
