2026年6月19日
理化学研究所
AI for Science開発用スーパーコンピュータの名称を「理究(りきゅう)」に決定
-人工知能による科学研究の革新に大きく貢献へ-
理化学研究所(理研)最先端研究プラットフォーム連携(TRIP)事業本部 科学研究基盤モデル開発プログラム(AGIS)[1]および計算科学研究センター(R-CCS)[2]は、AI(人工知能)を使った科学研究、AI for Science[3]開発用の新しいスーパーコンピュータの名称を「理究(りきゅう)」に決定しました。英語表記は"RIKYU"となります。
「理究」という名称には、自然現象の背後にある原理・法則である「理」を、AIとハイパフォーマンスコンピューティングを活用して探り、「究」めるという意味が込められています。基礎科学から応用まで幅広い研究を支える計算基盤を目指す、という理念を表した名称です。1千件以上の応募の中から、AI for Scienceの趣旨によく合致しており、茶人の千利休(せんのりきゅう)の「利休」と音が同じで親しみやすいため、「理究」を選定しました。
千利休の教えを伝えるとされる『利休道歌』には、有名な「守・破・離(しゅはり)」の語源とされる、「規矩(きく)作法 守り尽くして 破るとも 離るるとても 本を忘るな」という和歌があります。師匠から教わったことをしっかり「守る」ことは、既存の知をAIが広範に機械学習すること。身につけたことを他の知見や自らと照らし合わせて研究し、既存の知を「破る」ことは、学習したAIが研究に主体的に参加し、新しい知を開拓すること。既存の型から自由になって「離れる」ことは、今後の科学においては、AI for Scienceの巨大な探究の広がりにより人類とAIが科学の新領域を開拓していくこと。このように考え、大きな探究を行いつつ、「離れて、かつ、科学という本分を忘れない」ことを、「理究」の名前に託しました。
「理究」は、「AIによる科学研究の革新」を目的に神戸市ポートアイランドの理研神戸地区に導入する計算機システムで、AIの学習や推論で多用される16ビットや8ビットの浮動小数点演算において、エクサスケール級「1秒間に10の18乗回(100京回以上)」の高い演算性能を備えています。現在、7月の運用開始に向けて、調整を進めています。今後のAI for Scienceの推進に向け、AGISプログラム内での科学研究基盤モデル開発のみならず、国内および国際協力のAI for Science研究に幅広く活用できるよう、利用体制を整備していきます。
「理究」のシステム概要
「理究」は、NVIDIA GB200 NVL4を搭載した計算ノード400台(NVIDIA Blackwell GPU 1,600基)から構成され、NVIDIA Quantum-X800 InfiniBand によりノード間を最大3.2Tbps(Tbpsは1兆ビット/秒)の通信速度で接続します。倍精度浮動小数点演算(FP64)において64.16PFLOPS(ペタ(1千兆)フロップス)以上、8ビット浮動小数点演算(FP8)において15.539EFLOPS(エクサ(100京)フロップス)以上の性能を有します。
AI向けの超並列計算に強みを持つ「理究」と大規模科学計算に強みを持つ「富岳」が連携することで、高度な科学研究基盤モデルの開発・活用に大きく貢献することが期待されます注1)。
- 注1)2025年7月28日お知らせ「AI for Science開発用スーパーコンピュータのシステムが決定」
名称選定の経緯
理研は、「AI for Science開発用スーパーコンピュータ」について、
- 1.社会に役立つ研究に使うスーパーコンピュータであることが伝わること
- 2.日本国内のみならず、世界中の方々にとって親しみやすい名称であること
- 3.「科学」に関連する要素が含まれているか、またはイメージできること
- 4.科学者の研究を助けるAIの姿をイメージできること
を期待して、名称を一般公募しました注2)。
2025年11月20日から12月22日までの募集期間に、全国から1,019件の応募がありました。このうち、同一応募者による同じ案の重複送付などを除いた有効候補数は856件でした。
理研において、内部委員と外部委員で構成するAI for Science開発用スーパーコンピュータ名称検討委員会(下記)で名称の候補を選定し、AGISに参画する研究者などの意見も踏まえた上で、「理究(りきゅう)」と決定しました。
この名称で応募された河合政蔵さまには、記念品をお贈りします。
AI for Science開発用スーパーコンピュータ名称検討委員会 委員名簿(五十音順、敬称略)
委員
- 秋山 泰
- 計算科学研究センター 客員主管研究員
- 高橋 恒一
- 生命機能科学研究センター バイオコンピューティング研究チーム チームディレクター、科学研究基盤モデル開発プログラム プロジェクトディレクター
- 谷 峻太郎
- 光量子工学研究センター 光励起デジタルツイン理研ECL研究チーム 理研ECL研究チームリーダー
- ドーソン・ウィリアム(Dawson William)
- 計算科学研究センター AI for Scienceプラットフォーム部門 材料・物性アプリインターフェース基盤開発ユニット ユニットリーダー
- 長谷 敏司
- SF作家(外部委員)
オブザーバー
- 泰地 真弘人
- 科学研究基盤モデル開発プログラム プログラムディレクター
- 松岡 聡
- 計算科学研究センター センター長、同センター AI for Scienceプラットフォーム部門 部門長、科学研究基盤モデル開発プログラム プロジェクトディレクター
- 注2)2025年11月20日お知らせ「AI for Science開発用スーパーコンピュータの名称を募集」
補足説明
- 1.最先端研究プラットフォーム連携(TRIP)事業本部科学研究基盤モデル開発プログラム(AGIS)
理研の研究プログラムの一つで、科学研究向けAI基盤モデルの開発を中心に、AIやロボティクスによる科学研究手法の開発を推進している。詳しくは科学研究基盤モデル開発プログラム(AGIS)のサイト参照。 - 2.計算科学研究センター(R-CCS)
理研の研究センターの一つで、スーパーコンピュータの開発・運用並びに計算科学研究を総合的に推進している。詳しくは計算科学研究センター(R-CCS)のサイト参照。 - 3.AI for Science
科学研究に広くAIを利活用する取り組みの総称。AIをデータ・計算基盤・自動化された実験設備と連携させ、実験・理論・シミュレーションを統合する科学知の創出基盤を構築する取り組み。仮説生成・実験設計・解析・知識統合などを高度化し、人類が新たな科学知を発見する能力を飛躍的に高めることを目指す。
備考
「NVIDIA社製Grace Blackwellスーパーチップを搭載した計算ノード400台(GPU 1,600基)から構成され、InfiniBand XDR規格に基づくNVIDIA社製通信エンジンを用いて」を「NVIDIA GB200 NVL4を搭載した計算ノード400台(NVIDIA Blackwell GPU 1,600基)から構成され、NVIDIA Quantum-X800 InfiniBand により」に修正しました。(修正日:2026年6月19日)
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理化学研究所 最先端研究プラットフォーム連携(TRIP)事業本部
科学研究基盤モデル開発プログラム(AGIS)
Email: agis_pr@ml.riken.jp
理化学研究所 広報部 報道担当
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