理化学研究所(理研)とソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)は、共同で推進するJHPC-quantumプロジェクト[1](以下「本プロジェクト」)においてテストユーザプログラム(以下「本プログラム」)の第3期公募を実施し、20件の提案を採択しました。
本プロジェクトは、量子コンピュータ(QC)とスーパーコンピュータ(HPC)を連携させるためのシステムソフトウエアを研究・開発し、それを用いて量子HPC連携プラットフォーム(以下「連携プラットフォーム」)を整備、さらに量子HPC連携アプリケーション(以下「連携アプリケーション」)を構築し、計算可能領域を拡大することを目指しています注1)。
本プログラムは、連携プラットフォーム上で連携アプリケーションを研究開発する提案を募集するもので、開発中の連携プラットフォームに対するフィードバックを得るとともに、有望な連携アプリケーションを発掘し、実用化を推進することを目的としており、昨年度末までに21件の提案を採択しています注2)。
第3期公募は2026年5月10日から6月30日の期間で実施し、国内外の産学関係機関から、素材・化学・製造・情報通信・医療など、多様な業種・分野から応募が寄せられました。主として「連携プラットフォーム活用の具体性」、「HPC利用の核心性」および「結果を得るまでのスケジュール」の観点から審査を行い、20件の提案を新たに採択しました。採択提案のうち公開可能な15件について、代表提案者の所属および提案分野は以下の通りです(応募順)。
- 三菱電機株式会社(設計・製造、自然科学)
- 中外製薬株式会社(医療・創薬)
- 株式会社パナソニック システムネットワークス開発研究所(設計・製造)
- 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(自然科学)
- Q-Health Technologies Pte. Ltd. (医療・創薬)
- 株式会社IHI(設計・製造)
- 株式会社三井住友銀行(金融)
- DIC株式会社(材料)
- 国立大学法人大阪大学大学院 理学研究科(自然科学)
- 国立大学法人東北大学大学院 理学研究科(自然科学)
- ドイツ航空宇宙センター(自然科学)
- TISI株式会社(非公開)
- 国立研究開発法人理化学研究所計算科学研究センター(自然科学)
- 国立大学法人東京大学大学院 情報理工学系研究科(自然科学)
- Algorithmiq SRL(材料・創薬)
- 注1)2023年11月22日お知らせ「量子コンピュータとスパコンを連携利用するためのプラットフォーム研究開発プロジェクトを始動」
- 注2)2025年10月14日お知らせ「JHPC-quantum、テストユーザプログラム始動」
今後の予定
今後、採択された機関は、「量子-HPC 連携プラットフォームにおけるテストユーザプログラムに関する連携・協力に関する覚書」を締結するとともに、本プロジェクトで活用する2台の異なる種類の量子コンピュータ「黎明」注3)およびIBM Quantum System Two「ibm_kobe」注4)と、スーパーコンピュータ「富岳」[2]、JHPC-quantum GPU スーパーコンピュータ「ROQUO(ろっこう)」[3]の計4アカウントが付与され、連携プラットフォームを用いた連携アプリケーションの開発に着手することになります。
採択提案の概要は、2026年11月9日に開催する「JHPC-quantumシンポジウム2026」注5)にて、代表提案者が説明する予定です。
本プログラムの次回の公募は、2027年度の早期に実施する予定で、最終公募になります。また、本プログラムでは、採択プロジェクトのなかで、2026年度末までに達成された成果から大規模実験により革新的な成果が期待できると判断されるものについては、2027年度の早い時期に大規模実験が実施できるよう支援していく予定です。
理研とソフトバンクは、引き続き、東京大学および大阪大学と協力して本プロジェクトを推進し、連携プラットフォームの構築、連携アプリケーションの探索に取り組みます。また、本プログラムを通して、連携アプリケーションの実用化を推進し、量子技術の社会実装に貢献していきます。
- 注3)2025年2月12日お知らせ「量子コンピュータ『黎明』が理化学研究所で本格稼働、量子ハイブリッド高性能コンピューティング新時代を切り拓く」
- 注4)2025年6月24日お知らせ「量子コンピュータIBM Quantum System Twoを神戸で本格稼働」
- 注5)理化学研究所 計算科学研究センター「JHPC-quantumシンポジウム2026(2026年11月9日・東京/オンライン)」
補足説明
- 1.JHPC-quantumプロジェクト
経済産業省の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の一環として、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公募した「計算可能領域の開拓のための量子・スパコン連携プラットフォームの研究開発」に共同で提案し採択されたプロジェクト。これから数年のうちに実用化に向けて大きく発展する量子コンピュータをターゲットに、量子コンピュータとスーパーコンピュータを連携させるためのシステムソフトウエアを開発し、これまでのコンピュータでは困難だった領域の計算を可能とする計算プラットフォームを構築・運用し、その上で量子HPC連携アプリケーションを開発して、その有効性を実証することを目標としている。さらに、この計算プラットフォームで実行される量子HPC連携ソフトウエアを、ポスト5G時代のネットワークで提供されるサービスとして展開するための技術を開発する。 - 2.スーパーコンピュータ「富岳」
スーパーコンピュータ「京」の後継機。2020年代に、社会的・科学的課題の解決で日本の成長に貢献し、世界をリードする成果を生み出すことを目的とし、電力性能、計算性能、ユーザの利便性・使い勝手の良さ、画期的な成果創出、ビッグデータやAI(人工知能)の加速機能の総合力において世界最高レベルのスーパーコンピュータ(HPC)として2021年3月に共用が開始された。現在「富岳」は日本が目指すSociety 5.0を実現するために不可欠なHPCインフラとして活用されている。 - 3.JHPC-quantum GPUスーパーコンピュータ「ROQUO(ろっこう)」
JHPC-quantumプロジェクトの一環として導入された量子HPC連携プラットフォーム向けの新たな計算基盤。「NVIDIA GB200 NVL4」を搭載した計算ノード135台(NVIDIA Blackwell GPU計540基)で構成されている。
関連情報:2026年6月29日お知らせ「量子HPC連携プラットフォーム向け新スーパーコンピュータ「ROQUO(ろっこう)」運用開始」
研究支援
本プロジェクトは、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業(JPNP20017)」の委託事業「計算可能領域の開拓のための量子・スパコン連携プラットフォームの研究開発(研究代表者:佐藤 三久)」によって行われています。
- ※SoftBankおよびソフトバンクの名称、ロゴは、日本国およびその他の国におけるソフトバンクグループ株式会社の登録商標または商標です。
- ※その他、このプレスリリースに記載されている会社名および製品・サービス名は、各社の登録商標または商標です。
問い合わせ
理化学研究所 計算科学研究推進部 アウトリーチグループ
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